明治時代に政財界人や文人の別荘地として賑わった閑静な温泉地「強羅」。現在も企業の別荘や保養所が多く、箱根屈指の高級旅館が立ち並び、周辺には美術館も多い。白濁した湯を中心に多くの源泉があり、さまざまな泉質の温泉が湧いています。「大涌谷」は芦ノ湖とともに箱根を代表する観光地の1つ。豪快に噴き出る水蒸気や白煙、硫黄臭漂う荒涼とした景観が広がります。
強羅温泉(ごうらおんせん)[箱根十七湯]
早雲山東斜面の高台に位置する風光明媚な温泉地で、箱根十七湯では歴史が新しく、1894年(明治27年)に早雲山からの引湯により開発が始まりました。明治末期から開発は本格化し、大正初期に日本初のフランス式庭園である箱根強羅公園が造営され、大正8年に登山鉄道が開通し、政財界人や文人たちの別荘地として栄えました。1952年(昭和27年)以降、多くの源泉が掘削され、白濁した湯を中心に黄褐色の湯など、さまざまな泉質の温泉が湧いています。別荘から転じた保養所や箱根屈指の高級旅館が立ち並び、周辺には美術館も多い。 強羅駅と早雲山駅とを結ぶ箱根登山ケーブルカーは、ケーブルカーとしては日本で2番目に開通しました。階段式の客席からの景色も魅力的。夏には明星ヶ岳に赤々と燃え上がる大文字焼きも楽しめます。
大涌谷温泉(おおわくだにおんせん)[箱根二十湯]
箱根ロープウェイの最高地点にある、箱根を代表する景勝地「大涌谷」。約3000年前の富士山の最後の噴火でできた神山爆裂火口の跡で、現在も荒涼とした岩山のあちこちから噴煙が上がり、硫黄の匂いが立ち込めています。散策遊歩道が整備されていて、1周約40分、全長670メートルのコースを歩けば、噴煙を間近に見ることができます。最上部の閻魔台近くにある玉子茶屋の「黒タマゴ」が名物。温泉の泉質は酸性の硫酸塩・塩化物泉、神経痛・筋肉痛・関節痛に効きます。この温泉は造成温泉であり、大涌谷で自噴する温泉と、火山性蒸気に山清水を吹き当て造成した温泉を混合しています。ここで造られた温泉は箱根各所に配湯されています。
湯ノ花沢温泉(ゆのはなざわおんせん)[箱根十七湯]
駒ヶ岳の中腹の標高950メートル、明治23年に誕生した箱根十七湯の中でも一番の高所にある温泉。その名のとおり、自然湧泉から生じる「湯の花」が一面に広がる沢があり、日本で初めてその採取・販売が行われました。1890年(明治23年)頃から自然湧泉を利用した露天風呂が作られるようになりました。現在は、火山性蒸気を温泉に変えて自然湧泉は利用されてませんが、箱根湯の花温泉ホテルの箱根で最も高い場所にある露天風呂には、白濁色の湯が湯船になみなみで、晴れた日には絶景が楽しめます。
宮城野温泉(みやぎのおんせん)[箱根十七湯]
箱根の大文字焼きが行われる明星ヶ岳の麓に広がる温泉。開湯は1960年(昭和35年)。もともと企業の保養所などが多い場所で、温泉も強羅から引き湯していました。箱根町営「宮城野温泉会館」ほか、いくつかの日帰り温泉があります。