伊豆山にある1300年前に発見されたと伝えられる全国でも珍しい横穴式源泉。山腹から湧き出た湯が海岸へととぶように走り流れ落ちるさまから「走湯」と名付けられました。
養老年間(717~24年)に修験道の行者、役小角(えんのおづぬ)が発見したとされています。熱海伊豆山走り湯温泉、四国松山道後温泉、神戸六甲山有馬温泉の日本三大古泉の一つです。
また「伊豆」の国名は走湯の「湯出(ゆづ)」に由来するという話も残されています。「伊豆の国山の南に出づる湯の早きは神のしるしなりけり」と源実朝が詠んだように、古くから「伊豆山神社」の神湯として信仰されていました。
平安時代には湯のそばは修験場であったために、一般の人は近づくこともできず、鎌倉時代の終わり頃になってはじめて入浴できたといいます。
走り湯はかつて一昼夜に7千石(毎分900リットル)の湯を噴き出し、源泉温度が70℃ほどあったと言われています。現在、源泉は枯渇しており、観光用に別の源泉を引湯しています。
奥行き5メートルの洞窟からは70℃近い湯が毎分170リットル湧きだしています。無色透明でほぼ無臭、泉質はカルシウム・ナトリウムー塩化物泉。源泉は神秘的な光景が広がります。
走湯の目の前にある「うみのホテル中田屋」には、「走り湯資料館」がありその歴史にふれることができるほか、走湯で作った温泉卵「走り湯御玉」が販売さています。