猪鍋は、肉を煮込むと白い脂身が縮れて、真っ赤な肉が牡丹の花のようになることや、牡丹の花に見立てた盛り付けから、別名「ぼたん鍋」とも呼ばれます。
伊豆天城山は兵庫県丹波篠山、岐阜県郡上と並び、日本のイノシシ三大産地のひとつ。平安時代より狩猟が行われていた記録があり、明治時代には宮内庁の御猟場となり、地元の人は皇族たちの狩りの世話をしながら猟の腕を磨いたといわれています。
猪肉は煮込めば煮込むほど柔らかくなる鍋に適した肉質。また、他の動物の肉と比べて低脂肪・低カロリーなのに滋養が高く、食べると身体が温まるため、古くから冬場の貴重な栄養源となってきた優れた食材です。
天城の「猪鍋」の味付けは、濃いめで甘めの味噌風味が主流です。猪肉をしいたけ・はくさい・大根・長ネギ・ごぼう・コンニャクなどと一緒に甘めの味噌でグツグツ煮込んで食べます。まずはそのまま一杯。溶き卵をつけたり、辛味を加えてまた一杯。シメにはうどん。
狩猟解禁の11月15日頃から3月末頃まで。特に年明けから2月にかけてが一番脂がのって美味しい時期です。